本部・支部だより
11月27日放映NHKスペシャル「世界フードショック」を観て
名古屋支部 奥田孝道
現下の食料・農業問題については今までも全中の中家会長がテレビや新聞で訴えられていたが、特にこの度の放映はウクライナ戦争に翻弄され困窮する農業の実態と当面する問題の核心を具体的に抉り出しさらに今後、人口増加と地球温暖化により異常気象が進展する世界の食料需給予測の基に日本の食料政策の基本的課題を浮き彫りにした時宜を得た内容であり、しかもそれがNHKスペシャルで放映されたのは本当に良かった。これは現場を担う全農ならではと日頃から日本の食料・農業の現状に問題意識を持っていた私は久しぶりに胸のつかえがとれた思いがした。一方で食料・肥料・燃料等生産資材の急騰によるコストアップが販売努力にもかかわらず製品価格への反映が困難な状況から今後の営農継続にも苦慮されている農業関係者のご苦労は如何ばかりと心が痛みます。全農の関係部署でも諸対策の為に日夜のご奮闘に心からの声援を送りたいと思います。
しかし食料と農業の問題は国民の基本的課題として決してこれで終わる事はなく何度も繰り返して世に知らしめ理解を広める事が重要であり継続して取り組んで頂きたい。何故ならば私の居住する岐阜市北部周辺を見廻しても農地の宅地転換や耕作放棄地が近年、更に加速している現状にあり、まさに「農業崩壊」の現象を目のあたりにして農業の行く末を思うと寂しく不安な思いに駆られ、今こそ早急な抜本的改革無しには日本のこの難局は乗り切れないと判断するからである。然るに現在は飽食の時代が続いた結果、国民並びに政府及び国政を担うべき政治家までも「食料の安全保障」の重要性についての認識が低く危機意識に欠けていると感じられるのは私だけであろうか。
国の防衛と言えば国防費の増強ばかりが議論され島国で食料自給率が38%にまで落ち込んでいる日本にとって国防上一番大切な食料・農業問題がないがしろにされているがこれらを指摘するマスコミも非常に少ない事が残念である。この事は世界の先進国の中で飛び抜けて食料自給率が低く農水省の掲げる自給率改善目標が何年たっても全く達成される見込みがない現状が如実に物語っている。
食料を生産する農業は国民の命を守る基幹産業であり、これを守り育てる事は持続的社会の実現の為に何よりも重要な「国民共有の課題」であるはずである。好きな時に好きな量の食料を安く輸入出来きる時代は今後、決して続かないと見通せる現状から「食料・農業・農村基本法」を抜本的に見直し「食料は自給する事」を基本にした政策に大きく転換し、国を挙げて変革しなければ国民の安全は守れない。言い換えれば豊かさの象徴の「食」から生きる土台としての「食」への意識転換が必要なのである。日本にも天明の大飢饉等幾多の悲惨な危機があり戦中、戦後の食糧難は記憶に新しい。歴史に学ばなければ未来が危ういのは当然の帰結である。
戦乱を生き抜いた欧州にはその気概が残されており山国のスイスでさえも50%以上の食料自給率を堅持している。日本は今こそ目覚めるべき最後のチャンスだと私は思います。そういう意味で今回の放映とこれからの展開がその起爆剤となって欲しいものだと心から願っています。
以上

奥田さんのプロフィール
名古屋支部 横山忠
敬愛する奥田さんについてご紹介させて頂きます。氏は今年4月に83歳になられましたが農家の次男として20歳前半まで農業と関わりながらその後全農に奉職され購買業務(肥料・農薬・資材)の後に購販人事異動で園芸農産部門を経験されました。定年後、故郷岐阜県に戻られ6年前に岐阜大学名誉教授や料理教室の先生達と地産地消を基本とした「燦燦の会」(さんさんの会。会員約100名)を立ち上げ現在、当会の事務局長をされています。又、放送大学岐阜学習センターナビゲーターもされており「食料の安全保障」について各地で講演もされています。なお、来年1月には岐阜市中央図書館で燦燦の会の定例会で「皆さんはコオロギを食べますか」と題して講演をされますが小生は必ず参加させて頂きます。なお、氏は今日から奥様とお二人で沖縄の島巡りの旅に行かれていますが定年後の素晴らしい「自生」を送っておられますね。

