全農わかほ会(OB・OG倶楽部)全農わかほ会(OB・OG倶楽部)

概要

本部・支部だより

「日本人も捨てたもんじゃない」(投稿)

2022.01.25

令和4年1月18日

名古屋支部 横山 忠

自分を捨ててアフガニスタン人の為に情熱を捧げた男の物語
・・・「希望の一滴」

新型コロナ禍の為に我々の日常生活は一変しましたが人間は他人と触れ合って生きることが如何に大切かをしみじみ痛感した1年でしたが1日も早く新型コロナが完全終息しこれまでの「普通の生活」が取り戻せることを願って止みません。

自粛生活では三密にもならず飛沫も飛ばない読書三昧でしたが小生がこの1年間で読んだ凡そ50冊の本の中で最も感銘を受けた作品は2019年12月にアフガニスタンでテロの銃撃により亡くなられた中村哲医師の「希望の一滴」です。

同氏は最初は医師としてハンセン病対策でアフガニスタンに派遣されましたが「飢えや渇きは薬では治せない」と思い同国での35年間の後半の20年間は「命の水」を求め土木屋として砂漠を耕作地に変えると言う壮大な計画に着手し27キロの用水路を創られました。一口に27キロと言いますが砂漠16,500ヘクタール(大阪市の約4分の3に相当)の砂漠を緑の耕作地に変えおよそ65万人の人がその地で暮らせる様になりました。

アフガニスタンと言えば皆さんはテロの温床の国として悪いイメージをお持ちでしょうが、同国は人口の8割以上が農民の農業国ですが大旱魃や戦乱が続き農業が出来なくなった人々はアメリカ軍の傭兵になるか隣国のパキスタン及びイランに逃げて難民になる等悲惨な状態が続き更には9.11のアメリカ同時多発テロ事件が勃発し「テロとの戦い」と声高に叫ぶアメリカの同国への激しい空爆と共に各国の経済援助が断ち切られ悲惨な状況になりますが先生は前述した様に医療支援よりもむしろ食糧を確保する為の灌漑用水施設の建設が急務との強い信念で厳しい工事に立ち向かって行かれます。因みに中央アジアにはアフガニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン等がありますがスタンとはペルシャ語で「土地」を意味しアフガン人が住む場所を表しています。

食べ物に対して何一つ不自由が無い我々日本人には実感としてなかなか捉えられない状況だと思いますが哲学者の鶴見俊輔氏に「日本の希望は中村哲だけだ」とまで言わしめた素晴らしい人でしたが、まさに「日本人の矜持」だと思います。先生は砂漠化した大地に緑がよみがえり家族が暖かな食卓を囲む普通の人間の暮らしが戻り「平和には戦争以上の力がある」と言われています。昨年、我が国の食品ロス(食べられるのに廃棄される食品)は凡そ600万トンと言われていますが我々日本人はもう少し「食糧」を大切にしなければいけないのでは無いでしょうか。

昔、石原裕次郎が主演した「花と竜」を書いた作家の火野葦平氏は北九州市出身(昔の小倉市)で中村先生の叔父さんに当たりますがやはり先生にも九州男児の熱い血が引き継がれているのだと思います。興味がある方は西日本新聞社発行「希望の一滴」(1,650円)を読んで頂きたいと思いますが先生が代表をされていた「ペシャワール会(国際NGO)」に本の印税が納入され極めて些少ですが協力させて頂いた気持ちになりました。

認知症や鬱病は脳の一部の前頭葉の機能低下に起因するようですが人間は誰でも40才過ぎると前頭葉の機能は低下しはじめ70才から80才になれば急激に前頭葉が萎縮して機能低下し認知症や鬱病に罹患し易いそうです。読書は目から活字を読みとりあれやこれや想像力を巡らせ脳を刺激するのでボケ予防にはとても効果的な様です。

人と触れ合って刺激を受けたりどんな事でも良いので取り組んで向上心を高めたりまさかこの歳になれば初恋の人とはじめてデートするような「ときめき」はないにしても何かに挑戦する気持ちや好奇心を持ち続ける事は我々高齢者にとっては極めて重要です。認知症に掛からないようには出来ませんが罹患する次期を遅らせることは可能ですので生きている限り「身体と前頭葉」を動かし続けて元気に生きたいものです。